反響室の中と外

反響室の中と外

Twitterまとめや書ききれなかったこと、映画の感想、日々の妄言等々。

映画新作

「復讐」はDVを解決するのか?(否)及び、フィクションと社会問題のこと

※ドメスティックバイオレンスがどのようなものかについて概要を記載しています。ご注意ください。 虐待されてきた女性が男を殺すというプロットはよく見るしそれが物語上の解決策や救済として演出される作品も少なくないという体感はあるが(例示する気力は…

『ダンサー そして私たちは踊った』/表現をするということ

Title: And Then We Danced (2019)Countries: Sweden, Geogia, FranceDirection: Levan AkinWriting: Levan AkinCinematography: Lisabi FridellEditing: Levan Alin / Simon CarlgrenProduction Design: Teo Baramidze 「踊るのが好きなのか?」と、あえて…

『天才作家の妻』/None of your business, but,

Title: The Wife (2017)Countries: UK, Sweden, USADirection: Björn L RungeWriting: Jane Anderson (Screenplay)Cinematography: Ulf BrantåsEditing: Lena RungeProduction Design: Mark LeeseMusic: Jocelyn PookBased on: “The Wife” by Meg Wolitzer …

『女は二度決断する』/大きな悪意を前にしてあなたは

Title: In the Fade (2017)Countries: Germany, FranceDirection: Fatih AkinWriting: Fatih Akin (written for screen by), Hark Bohm (co-author)Cinematography: Rainer KlausmannEditing: Andrew BirdMusic: Josh Homme 【定型文】本文の前に:・このブ…

『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』/冒険活劇の終わり

Title: Star Wars: Episode VIII - The Last Jedi (2017)Country: USADirection: Rian Johnson Writing: Rian Johnson, George Lucas Cinematography: Steve YedlinEditing: Bob VernieuMusic: John Williams 【定型文】本文の前に:・このブログの映画感想…

「女神の見えざる手」/焼き尽くす人

Title: Miss Sloane(2016)Country: USADirection: John Madden Writing: Jonathan Perera Cinematography: Sebastian BlenkovEditing: Alexander BernerMusic: Max Richter 【定型文】本文の前に:・このブログの映画感想記事は個人の所感を記録することに特…

「ダンケルク」/ヴォイド

Title: Dunkirk (2017)Countries: UK / USADirection: Christopher NolanWriting: Christopher NolanCinematography: Hoyte Van HoytemaMusic: Hanz Zimmer 【定型文】本文の前に:・このブログの映画感想記事は個人の所感を記録することに特化しています。…

「否定と肯定」/相手の土俵に上らない

Title: Denial (2016)Countries: UK / USADirection: Mick Jackson Writing: David HareCinematography: Haris Zambarloukos Music: Howard ShoreBased on: Deborah Lipstadt "History on Trial: My Day in Court with a Holocaust Denier" 本文の前に:・こ…

『ネオン・デーモン』/自我が「自己」に変わるとき

本文の前に:・このブログの映画感想記事は個人の所感を記録することに特化しています。・基本的に公式宣伝やインターネットなどで触れられるあらすじについて改めて言及しません。数多ある感想ブログの中ではかなり不親切な部類に入ると予想されます。・息…

『ミルピエ 〜パリ・オペラ座に挑んだ男〜』をおすすめする

原題:Releve: Histoire d'une creation(2015・仏) 舞台芸術の中でも、バレエ、特にコンテンポラリーダンスは私にとってはかなり難しい部類に入る。自由だからだ。なにせストレートプレイやミュージカル、オペラや歌舞伎・能ともクラシックバレエとも違い…

『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』/戦場が肌を撫でる

本文の前に: ・このブログの映画感想記事は個人の所感を記録することに特化しています。・基本的に公式宣伝やインターネットなどで触れられるあらすじについて改めて言及しません。数多ある感想ブログの中ではかなり不親切な部類に入ると予想されます。・自…

『母の残像』/手を繋ぐ、選択

本文の前に:・このブログの映画感想記事は個人の所感を記録することに特化しています。・基本的に公式宣伝やインターネットなどで触れられるあらすじについて改めて言及しません。数多ある感想ブログの中ではかなり不親切な部類に入ると予想されます。・息…

『ハドソン川の奇跡』/この気持ちよさと、それに対する違和感

原題:Sully(2016・米) えっとですね、前置きをしますと、ちょっとまだこの作品に対してどういう態度で向き合えばいいかかなりブレてまして、諸手を挙げて賞賛するのもそりゃないだろって批判するのにも喉に詰まるようなためらいがあります。それはこの映…

『シン・ゴジラ』雑感

(2016・日) タイトルの通り雑感です。というか最初あまり見に行く気がなかったので(すみません)概要や結末はネタバレを避けずなんとなく把握してました。なので、真偽のほどは如何、的なノリで「観察しに行った」という意味合いが強いかと。考察・批評等…

『エクス・マキナ』/写し鏡の現実へ

原題:Ex Machina(2015・英) ※ネタバレを前提としたレビューです。 男性諸氏にとっては少なからず不快な記事になるだろうこと、及び、非常に「所謂フェミニズム臭」のする記事になることを予め断っておく。こうして前置きをする自分の卑しさに愕然としなが…

『神様メール』/そろそろ新しい定規が欲しくはないか

原題:Le tout nouveau testament(2015・白/仏/ル) まずもって明らかに邦題が怪しすぎる気がしたのでグーグル先生に頼ることにしました。あれこれやってみてわかったのですが、原題は「新しい新約聖書」、つまり作中で主人公のエアが書くことにした「新・…

『或る終焉』/手招き

原題:Chronic(2015・墨/仏) もう廃れてしまっているのかもしれないが、葬儀に参列した後、その参列者の帰宅時に塩を振る習慣が日本にはある。ついてきたものを家に入れない為だと。 また、誰かの四十九日を過ぎるまでにその知人などが亡くなると、決まっ…

『グランドフィナーレ』/老いる男

原題:Youth - La giovinezza(2015・伊/仏/英/瑞) 老いと若さが主題に置かれ、かつ視点が老いの側に据えられているだけあって、ともかく双方の対比が鮮明で残酷ですらある。その残酷で暴力的な美しさがあるからこそフレッドとミックの場面は悔悟に満ちてい…

『ズートピア』/理想の為には前を向いて

原題:Zootopia(2016・米) 公開時から大評判な本作。個人的な印象ではアナと雪の女王以上な気がします(単にアナ雪公開時にはまだツイッターをやってなかったからかもしれませんが)。 内容に関してはもう批評家さんのものも一般の方の感想も出回っている…

『スポットライト 世紀のスクープ』/それでも私達は襟を正す

原題:Spotlight(2015・米) 無骨で実直な、一本筋の通った映画。過度な演出も露骨なドラマ性も避け、淡々と、しかししっかりと記者達に寄り添う作品づくりに好感を持てました。 主人公である記者達がヒーローでもハゲタカでもなく地域に根ざしたひとりひと…

『マジカル・ガール』/見えない映画

原題:Magical Girl(2014・西) ※短評というより主観に基づく視聴記録です。そうなってしまうくらい掘り下げられませんでした。 決してタイトルどおりのお気楽なムードの作品ではないと予告編や漏れ聞こえてくる感想から予測はしていたが、まさかここまで徹…

『ロブスター』/ファンタジーの先鋭

原題:The Lobster(2015・希/仏/愛/蘭/英) 「45日以内に恋人を見つけなければ、あなたは動物に変えられる」 作品の公式予告で繰り返されるテーゼであり、そこに間違いはない。ただし、実際に見て初めて分かったのは、それがテーゼの半分でしかないことだっ…

『スターウォーズ フォースの覚醒』/周回遅れでわたしが覚醒

3月25日でエピソード7が同時終映だそうですね。情報をキャッチしてからずっともういちど見に行きたいと思っていたのがやっとこさ実現で きて、改めて作品がある程度腑に落ちてきた感があります。計3回見たことになりますが、1回目は単にスケールに、2回目は…

『スティーブ・ジョブズ』/美しい構成物とままならないわたしたち

原題:Steve Jobs(2015・米) ひとことで言えば、確かにこれはまぎれもない伝記映画だ。 とにかく最初から最後までどこまでも美しい映像たちの中にぶつけられる、スティーブを中心とする登場人物のあまりの混沌ぶり、ままならなさ・いびつさ・ ぎこちなさに…

『独裁者と小さな孫』/寓話とは得てして残酷で

原題:The President(2014・喬/仏/英/独) 架空の国を舞台に据えたからか、登場人物のほとんどに固有の名前が与えられなかったからか、それとも物語の視点が基本的に大統領を離れない(かと いって大統領の心理的な描写はあるワンシーンを除いてほぼない)…

『オデッセイ』/生き抜くことのうつくしさ

まだまだ絶賛上映中で、ツイッター上でも「火星版鉄○DASH」「イモ万歳」と盛り上がっている上記映画。もうなんとなく未見の方でもス トーリーラインが予測できる程度には情報が流れているので何を今更…という感もあるのですが、本作を見ながら感じたこと・考…

『サウルの息子』覚え書き

感想と言えるほどまとまりませんでしたが、書かずに終えたくなかったので覚え書き。 まず4:3の画角に、次に極端なショートレンズでの撮影に強烈な違和感を覚える。フォーカスを合わせてあるのは基本的に前面もしくは背面からのサウルの姿(それも動きがある…