反響室の中と外

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Twitterまとめや書ききれなかったこと、映画の感想、日々の妄言等々。

映画視聴記録と感想・2017/01

 劇場新作及び媒体新作について、別記事を既に上げているものに関してはそちらにリンクを張って省エネ兼ネタバレ防止としています。リンクなしの新作については可能な限りネタバレにならないよう気をつけたつもりでは…います…
 旧作(概ね国内でソフトウェア販売及びレンタルが開始されているもの)については、あからさまな記述は避けますがある程度の内容への言及はご了承ください。
 公開年は全て初公開年で統一しています。


【新作】

◯ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気/Freeheld(2015・米)

 本作の元になった2007年発表のドキュメンタリー『Freeheld』を観られていないので、私はどちらかというとそちらのほうを観ておくべきだったかもなあという感覚。
 パートナーシップの権利を求めるというのは異性同性にかかわりなくとても大事なことで、その機会の公平を願って実際に行動した人がいるということへの再認知のきっかけとして観られてよかったなと思っていますが、どうも話の持って行き方がいささか過剰に「ローレルが「いい人だから・地域に貢献した人だから・そんな人が病気にかかって可哀想だから」その権利が認められるべき」みたいな方向付けをされているように見えて、それはちょっと趣旨として違うんじゃない、という感想を持ってしまった……。いや、でも何事も結局最初は属人的な要素に訴えるしかないのかもしれないしなあ。人間だしなあ……というわけで、やっぱりちゃんと元になったドキュメンタリーを見たいです。
 主演のジュリアン・ムーア氏もエレン・ペイジ氏も素敵でした。二人の背景というか、育ってきた環境が垣間見えるような演技はよいですね。

 

◯ミルピエ パリ・オペラ座に挑んだ男/Releve: Histoire d'une creation(2015・仏)

 

◯ストーンウォール/Stonewall(2015・米)

 すみません、作品としてはだいぶ散漫な印象を受けるというか、ずっと一貫してAという主張を貫いてきていたはずの登場人物が最後の最後になって脈絡なく突然Bと言い出す、みたいな個人的にアカン感じのプロット立てだったりした為にあまり人様によい感想をお伝えできない……。ただ、映画を見ている間ずっと、あの時代の(そして今にもつながる)同性愛者たちの奔放さの根底にこびりついて離れない破滅的なものの考え方や自己肯定感の低さにしんしんと思いを馳せていて、うまく表現できないのですが、自尊心がきちんと個人の芯に育つ難しさについて考え込んだりもしていました。

 上述の『ハンズ・オブ〜』といい、この手のbased on true storiesはどうもうーん……という感じ。いやそれ自体はいいところもあるんですが。私自身が「おはなし」に対して以前ほど無邪気でいられなくなったと思ったほうが正しいんでしょうなあ。

 

ヒトラーの忘れもの/Under sandet(2015・丁/独)

 題材のやるせなさ、理不尽さは勿論のことですが、あくまで言葉でなく行動が相手や物事を動かしていくところに強い説得力を感じた次第。いい作品でした。

 

ネオン・デーモン/The Neon Demon(2016・仏/米/丁)

 

マッドマックス 怒りのデス・ロード ブラック&クロームエディション/Mad Max Fury Road Black & Chrome Edition(2015・米)

 色情報がないせいなのかどうかはわかりませんが、場面の緩急とカット割にすごく集中していた。やはりよい構成の作品というのは言葉よりも小さなシークエンスの連なりで世界観に説得力を持たせるのだなあ。
 それから、やっぱりBrother in Armsの場面のカットの割り方が神がかってる。ほんとにあそこだけMVみたいだったもの。

 

◯沈黙 -SILENCE-/Silence(2016・米)

 初日に観に行ってひたすら圧倒されて帰ってきたのですけど、原作と映画を切り離して考えることがおそらく不可能であり、(他の作品を下に見るつもりは決してないのだけれど)あの作品が突きつける主題に答えられるだけの、強いて表現するなら「格」が、私には足りないなという思いに至った為、私に『沈黙』の感想は書けないなあという結論に達しています。ただ、改めてそれぞれの表現媒体ごとの限界と可能性に気づけたことは新鮮な喜びでもあったので、その辺りはまた個別に掘り下げられたらいいなと。あと純粋に、原作未読の方の感想と、宗教をもっと身近に感じてらっしゃる(あるいは研究されている)方の感想を伺うことができたら嬉しい。
 内容とあまり関わりない、かつ映画ならではのところで言うと、手漕ぎの船で海を行くシーンの太鼓の音が完全に歌舞伎の演出のそれだったのでひとりで滾ってました。あれはとてもよかった。

 

◯ショコラ 君がいて、僕がいる/Chocolat(2015・仏)

 ……まあそのなんというか、敢えて嫌な言い方をすると、意外性はありません。予告編やあらすじやそもそも時代背景からして、作中で何が起ころうとも、正直結末なんてある程度見通しがついてしまう。
 それでも、ショコラでありカナンガでありラファエルだった男が背負わされたものは、どれだけ抗っても、彼の人生ぜんぶを費やしても押しのけられないものだったのだろうなと考えるとその理不尽さに砂を噛む思いがします。そして、生きていくってそんな筋道だったきれいなものじゃないよねと、改めてふと思い直させられる説得力はやはりオマール・シー氏の演技にあったのだろうなあ。
 あと、物語の見せ場になるところについて言及してしまったので、付け足しでふせったーに。 http://fse.tw/ZW7o4#all

 

【旧作】

ウォルト・ディズニーの約束/Saving Mr. Banks(2013・米)

 熱心なディスニー映画視聴者でなかったことが極めて凶と出た。題材のメリーポピンズくらいは予習しておくべきだった、申し訳なかった。ただ全役者さんの演技力が爆発してたのでそれだけでも最高でした。ファレルさん…エビとかカニとかロブスターとか言ってすみません。

 

イップ・マン 序章/葉問(2008・香)
イップ・マン 葉問/葉問2(2010・香)

 ローグ・ワンでわかりやすくドニー・イェン氏に引っかかり即手を出しました。ミーハー根性丸出しである。実在の葉問氏の伝記でもあるので時代背景として辛い部分ももちろんありますが目を背けてはいられないところでもありますね。他の方の指摘にも多く見られるのですが、このシリーズ女性や弱いものへの眼差しが意外なほど優しいので、ちょっとそこに救われる部分も。4月公開の葉問3が見たいのですが……見られないかもしれない……

 

チャイルド44 森に消えた子ども達/Child 44(2015・米)

 トムハ氏のトムハ力が全開で幸せでした。内容は…すみません、なんつか若干小野不由美氏の「黒祀の島」みたいだった。(動機付けそれだけなのかあ……っていう)

 

◯ルーム/Room(2015・愛/加)

 昨年度いろんな映画館で上映やリバイバルがあったにもかかわらず今更の視聴だったのですけれど、よい(というのも辛いものがこみ上げるのだが)ですね……あくまでジャックの眼差しに基づいた物語だからこそセンセーショナルになりすぎることなく、最後まで観ることを受け入れられたなと思う。ジャックの姿、というか「愛すべきうつくしい少年像」には若干の疑念も残りますが、主観としてばっさりとそこだけを切り出し、他は思い切って観客に委ねた構成には潔さを感じました。
 ……すみません今知ったんですが監督のレニー・アブラハムソン氏って『FRANK』の監督だったんです……!!?(遅い) あ、なんか、いい意味で色々合点がいきました。なるほど。

 

高慢と偏見とゾンビ/Pride and Prejudice and Zombies(2016・米)

 原作の小説も原案の小説も読めていない不真面目な視聴者ですが、あの、これ、めちゃくちゃ面白いですね……。舞台が18世紀であることを踏まえつつも現代にもきちんと通じる、女性が思う通りに進む為の葛藤と戦いと。なんて真面目こいてますがひたすら爽快感に心が洗われるようでした(ゾンビなのに)。あとキャスティングされた方天才だと思います。この配役じゃなきゃこんなに入り込んで見られなかった。映画館さんお願いだから絶叫上映して。これほんとに楽しい。